17年前の誰かの日記ブログ

・この間何か調べるために何か少し込み入ったキーワードでググったら(その何かが何だったかはもう忘れた)、どこかの誰かの書いた日記ブログが2番目くらいの候補としてヒットした。

・結論から言えば(?)、その日記の内容は僕の調べたかったこととは何の関係もなくて、「今日は仕事が休みだったから、彼に連絡しようと思った。でもきっと連絡すれば私は果てしなく甘えてしまうだろう、そう思って結局連絡しなかった」というような事が書かれていた。日付を見るとなんと2005年の記事だった。

・「なんと」と書くべきかは少し迷ったのだが、少なくともインターネットの世界においては、2005年というのは大昔である。まだ「ブロードバンド」とか言ってたんじゃないだろうか。そして17年前というのは人間の人生にとっても多くの場合「ちょっと前」とは言えない過去だ。この日記の主は今いくつになっているのだろうか。17年前、僕は高校生だった。今は30代前半だ。そして日記の主が当時仮に20代だとすれば今は30後半、あるいは40過ぎということになる。……なんだか気が遠くなるような気もする。

・でも17年前のある日、日記の主は確かに彼氏に連絡しようか迷い、結局やめて、その事を確かにブログに記録したのだ。日記の主はそんな日記のことも、もしかしたら日記に書いた彼氏の事すらとっくに忘れているかもしれないが、サーバーには文字通り色褪せずにそんな記録が残っていた。そして17年後の2022年4月某日、全くアカの他人である僕が偶然それを読んだ。

・こういうことについて、あるいは気持ち悪いと感じる人もいるかもしれないけれど、僕は画面に映し出された、17年前の誰かによって書かれた文字列を眺めながら何とも言えない感傷に浸ってしまった。その感傷は17年という歳月に対してなのか、「日記ブログ」というかつて隆盛を誇った文化に対してなのか、うまく表現できないが、多分両方が入り混じっている。そして、この記事をここまで読んでくださったような方の何割かはこの感じをわかってくれるものと期待するのだが……。