【雑記】2021年10月26日

・このところ、昔読んだ本をパラパラ拾い読みすることが多い。いや、せいぜい30ちょい過ぎの者が「昔」とか何いってんだなんだけど、それはさておき。

・たとえば「カラマーゾフの兄弟」とか。これは高校3年くらいのとき「おれっちもそろそろカラマーゾフくらいよんでおくか」という、背伸び丸出しの意識で読んだのが初めてで、その後も20代の間に何回か拾い読みしてはいる。

・で、今になって改めて読むと、たとえば最初の方で書かれる「フョードルのおっさん修道院で大暴れ」の一幕とか、その後に続くアリョーシャの心理描写とか、そういうのがこれまでになく「確かになんか面白い!」という感覚があるのだけれど、はてさて、19とか20でこの小説を読んで何かしら実感を得られた人って、そういるのだろうか?

・というのは、20歳の人間より30歳の人間が賢いという意味では決してないが、やはりこの小説の面白さって、自意識の拡大と挫折(と書くとなんかすごそうだが、要するに”思い出すとイタタってなる”類の思い出のことだ)とか、あるいは人間関係のいろいろなバリエーションとか、さらに個人を超えた社会レベルの問いまで、すごく豊かに詰め込まれてるからなんだろうと。いや、ちょっと「地下室の手記」の感想が混じってるところあるけど。

・……なので20前後、またはもっと若い年齢でこの小説を読んで面白かったとか、あるいは、自分にとって何かしら切実な問題として読めた人っていうのは、一体どんな人なんだろうなと。僕なんかより数倍、経験の濃度が高い10代を送ってきたのだろうか……いや俺がガキなだけか、とかそんなことを考えた。